札響第595回定期 ワーグナー「ニーベルングの指環」抜粋

コンサート
11 /26 2016
■ 札幌交響楽団第595回定期演奏会(夜公演)

 ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
 ワーグナー 楽劇「ニーベルングの指環」より ワルハラ城への入場、ワルキューレの騎行、
         魔の炎の音楽、森のささやき、ジークフリートの葬送行進曲、ブリュンヒルデの自己犠牲

 飯守泰次郎(指揮)
 ニコライ・ホジャイノフ(ピアノ)

 2016年11月25日(金)19:00~
 札幌コンサートホールkitara


1曲目は「皇帝」。14型2管編成。コンサートマスターは大平まゆみさん。チューニングが終わり、ホジャイノフさんと飯守さんが登場。ホジャイノフさんはパッと見は細身のイケメン、神経質な芸術家という感じです。92年ロシア生まれで、2010年のショパンコンクールのファイナリスト、2012年ダブリン国際ピアノ・コンクール優勝などの経歴をお持ちだそうです。

「皇帝」は意外にも生で聴くのは初めてですね。あまり好きな曲ではないのですが、演奏は両端楽章の力強さ、第2楽章の繊細な美しさはたっぷり堪能しました。曲のせいもあるのかもしれませんが、この演奏会ではホジャイノフさんはわりと飯守さんにあわせていたように感じました。ピアノとは関係がないのですがホルンの下吹きにソロがあったり、第2楽章から第3楽章にかけてホルンだけの持続音があったりと、新たな発見がありました。

アンコールは2曲披露してくれました。リスト(ブゾーニ編)の「フィガロの結婚」の主題による幻想曲とグランド・ギャロップ・クロマティックでしたが、こちらは荒々しくも圧倒的な超絶技巧で会場を大いに沸かせました。すごい!

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後半は「指環」ハイライト。弦5部は16型に拡大。管打はフルート4(ピッコロ持替)、オーボエ3、イングリッシュホルン、クラリネット3、バスクラリネット、ファゴット3、ホルン8(ワーグナーテューバ持替)、トランペット3、バストランペット、トロンボーン4(コントラバストロンボーン持替)、テューバ、ティンパニ2、スネアドラム、トライアングル、タムタム、シンバル、グロッケンシュピール、ハープ2と、まあ舞台にびっしりです。

「皇帝」ではスコアを見ながらだったマエストロ飯守はワーグナーではなんと暗譜。さすがはオペラ指揮者ですね。

ワルハラ城への入場がはじまったとたんワーグナーの世界に引き込まれました。分厚い響きやトゥッティのときのものすごい迫力に快感を覚えます。飯守さんがプログラムに「ワーグナーの音楽の一番素晴らしいところは、極端に言えば人の心を操作するほどの圧倒的な表現力」と書いておられたとおりですね(笑)。6曲の中ではワルキューレの騎行、森のささやき、ジークフリートの葬送行進曲がとても良かったと思いました。

飯守さん、納得の快演だったのでしょう。タクトを置いた後、両手をがっちり合わせて楽団への感謝を示していたように見えました。

まことに聴きごたえたっぷり・腹いっぱいの演奏会でした。札響定期は年内は今回で終了。次の定期は約2か月後です。


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エリシュカ/札響 チャイコフスキー交響曲第4番ほか

聴いている音楽
11 /21 2016
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昨日はファイターズ優勝パレードとコンサドーレのJ2優勝そして昇格と、お祝い事が重なりました。今年は台風とか色々あったけど、悪いことばかりじゃないですね。あー、一人で一気に年の瀬ムード(笑)。

さてさて最近は通勤時間を中心に札響の録音を聴いていました。今年3月の演奏会のライヴ録音です。指揮は名誉指揮者でチェコの巨匠ラドミル・エリシュカさん。収録曲はチャイコフスキーの第4番とドヴォルザークの弦楽セレナードです。

ゆったりとしたテンポでしっかりオーケストラを鳴らしてゆくチャイコフスキーは冒頭から興奮するフィナーレまで一貫していて、繰り返し聴いてもしらけることがありません。

そしてチャイコフスキーのあとには、これまた隅々まで丁寧に美しく奏でられた弦楽セレナード。例えばⅣラルゲットの2'33"のあたりなど、サラッと通り過ぎていくようなところにも血が通っていて聴いていて嬉しくなります。

収録順はコンサートでの演奏順ともちろん逆ですが、ディスクという商品としてはいい配置だと思いますね。自分にとっては大いに楽しめるCDでした。


バッハ・コレギウム・ジャパン札幌公演 ミサ曲ロ短調

コンサート
11 /17 2016
■ バッハ・コレギウム・ジャパン札幌公演

 J.S.バッハ ミサ曲ロ短調

 鈴木雅明(指揮)

 朴瑛実(ソプラノ)
 ジョアン・ラン(ソプラノ)
 ダミアン・ギヨン(カウンター・テナー)
 櫻田亮(テノール)
 ドミニク・ヴェルナー(バス)

 2016年11月15日(火)19:00~
 札幌コンサートホールkitara

4度目となるBCJのコンサートに行ってきました。実はBCJによるロ短調ミサを聴くのは2度目で、前回は9年前、ミューザ川崎まで遠征して聴いたのでした。

くすんで素朴な管弦楽、どこまでも澄んだコーラス、活き活きとしたリズム。大好きな曲を信頼できるアーティストで聴けるのはとても幸せなことです。心から素晴らしい演奏会だった!。

第1部は『グローリア』の中盤以降、テノールとソプラノによる二重唱「主なる神」、オーボエ・ダモーレとカウンターテナーによる「父の右に座し給う者よ」、コルノ・ダ・カッチャとバスによる「なんとなれば汝のみ聖」など次々現れる聴かせどころで、それぞれが素晴らしいパフォーマンスで聴衆を惹きつけていました。第1部終曲「精霊とともに」が始まったとき、「もうこれで休憩か、1時間早いなぁ~」と思えるほど、あっという間でした。
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第2部は『クレド』でのソプラノとカウンターテナーの二重唱「我は信ず」、オーボエ・ダモーレとバスによる「また聖霊」、『アニュス・デイ』でのカウンターテナーによる「神の小羊」が特に良かったですね。

管弦楽は第1部でナチュラルトランペットでのクラリーノ音域の吹奏に苦戦していたようにも思えましたが、第2部では見事でした。すごい!。合唱は今回一番良かったと思ったのは『サンクトゥス』。あまり好きではないのですが、各声部の絡みや際立たせ方で聴いていて、とてもひきこまれました。

終演後の盛大な拍手で、ひときわ喝采を浴びていたのは、カウンターテナーのギヨンさん、テノールの櫻田さん、コルノ・ダカッチャのピコンさんでした。櫻田さんは去年札響との共演を聴きましたが、ホントすごい方です!。

会場を後にしたのは午後9時半ころ。kitaraから地下鉄駅まで7分ほど外気温1度の中を歩いたのですが、興奮で体が温まったせいか寒さを感じませんでした(笑)。

小澤&ツィマーマン(Pf) リスト ピアノ協奏曲第1番ほか

聴いている音楽
11 /12 2016
土曜の午後の札幌は良く晴れて気温も高めで10度ほど。柔らかな日差しに秋らしさを感じています。ドカ雪も融けて路肩に少し残る程度になりました。

音楽の方はリストです。クリスティアン・ツィマーマンさんのピアノ独奏、小澤征爾さん指揮、ボストン交響楽団の演奏によるCD(グラモフォン・1987年録音)です。収録曲はピアノ協奏曲第1番、第2番と交響詩「死の舞踏」です。
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この演奏いいですね。ツィマーマンさんのがっしり鍵盤を掴むような強靭なタッチと第1番の第3楽章で魅せる煌めく超絶技巧との対比が素敵です。バックの演奏もリズムが効いていて小澤さんのスタイルに合っているように感じました。少し腰をかがめて腕を前に押し出すような小澤さんの指揮が目に浮かびます。

コンチェルトは第1番の方がすべての面で魅力的に感じますが、第2番もあらためてじっくり聴いてみるとなかなか味があります。アレグロ・モデラートのチェロのソロは今日のような秋の晴れた日にはとてもいいですね。

ボストン交響楽団は高級感あふれる落ち着いたサウンドのオーケストラだと思っていますが、この録音ではトランペットなどはわりと強めに吹かせているように感じました。

音楽を聴いていたら、村上春樹さんの紀行文集「ラオスにいったい何があるというんですか?」の中にボストンに関する章があったのを思い出して読み返していました。「チャールズ河畔の小径」で描かれるボストンの記述もまた美しいものがあります。


秋山/九響 マーラー 交響曲第9番

聴いている音楽
11 /06 2016
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札幌は今朝起きたら20cmを超すドカ雪でした。しかも湿って重く雪かきは腰にきました。音楽鑑賞の方は秋山和慶さんの指揮による九州交響楽団の第313回定期演奏会のライヴ録音(FONTEC・2011年)です。

九響さんはコンサートもCDも聴いたことがなく、全く先入観なしに聴いてみましたが、なかなかのものです!。秋山さんの指揮はもう少し鋭角的にとか、もう少し粘り気のある表現だったらと思う部分もありましたが、全体的にはオーケストラの水準の高さとアンサンブルの確かさをしっかり感じることができて大いに楽しめました。地方オーケストラの実力を知るのに最適な一枚だと思いました。

それと今回CDを聴いて感心したのは、九響さんの定期演奏会の会場となっているアクロス福岡シンフォニーホールの素晴らしい響きですね。kitaraとは異なるシューボックス型のホールのようですが、素晴らしい音響だと思いましたし、録音も第4楽章の終りの最弱音まで綺麗に収められていてとても満足いくものでした。

あれっ、CDジャケットをよく見ると九響さんの英語表記には「The」がついています。The Cleveland Orchestraみたいでカッコイイですねぇ。


ブロムシュテット/バンベルク響 東京公演

コンサート
11 /04 2016
東京に遠征してきました。コンサート目的だけの上京は5年ぶりです。

■ バンベルク交響楽団 東京公演

 シューベルト 交響曲第7番ロ短調「未完成」
 ベートーヴェン 交響曲第6番ヘ長調「田園」

 ヘルベルト・ブロムシュテット(指揮)

 2016年11月3日(木・祝)19:00~ 
 サントリーホール

プラハのドイツ系音楽家によるオーケストラがルーツで、第二次世界大戦後、ソビエトの衛星国家となった旧チェコスロヴァキアの迫害を逃れ、西独バイエルン州の小さな街(人口7万人だそうです)に集まり、活動を再開したというバンベルク響は今年創立70年だそうです。聴くのは初めてです。指揮は結構好きなブロムシュテットさん。

オーケストラは14型。配置はステージに向かって左から、1stヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、2ndヴァイオリンの対向配置で、1stヴァイオリンとチェロの後方にコントラバスが一列に並びます。

1曲目「未完成」。ブロムシュテットさんはタクトを使わず指揮。テンポは中庸。モダンオケですがノンヴィブラートでのすっきり、きびきびした演奏です。やっていること自体は特殊ではないのでしょうが、もっと保守的な演奏を想像していたので意外でした。木管楽器も瑞々しく繊細でとても良かったです!。第2楽章は音楽に浸る心地よさに包まれました。1曲目からブラヴォーがかかっていました。

2曲目の「田園」も「未完成」と同じスタイル。さらに対向配置独特の1stvnと2ndvnの音の掛け合いが際立って面白さが加わる感じです。第1楽章は年寄りくささ皆無のスピード感のある出だしでしたが、テンポに乗り切れなかったのか若干アンサンブルがばらつく場面もあったように感じました。しかし、その後はすぐにきっちり修正して機敏に反応。「嵐」の部分の迫力もありましたし、一音一音大切に奏でられた終楽章もホント美しかったですね。ふわっと、そして慈しむような最後の一音も印象に残るものがありました。素晴らしかった!。

ブラヴォーも多数かかり、聴衆の満足度が伝わってきます。万雷の拍手に応えてのアンコールは「エグモント」序曲でした。振り向きざまの一撃!。そして終始緊張感・力感漲る演奏に会場は大いに盛り上がっていました。とても良い演奏会でした。89歳のブロムシュテットさんは登場の時も指揮している時も若々しかったですね。


イッサーリス(vc) ベートーヴェン チェロ・ソナタほか

聴いている音楽
11 /01 2016
今日から霜月。早々に日帰りの帯広出張。といっても夏の終わりの4つの台風の影響でJRは石勝線・根室線が今でも一部不通。帯広に行くには札幌からトマムまでの臨時特急とそこから帯広までの代替バスで片道4時間コース。

車中で聴いていた音楽はこちら。

■ ベートーヴェン:チェロ・ソナタ全集ほか
 チェロ・ソナタ第1番ヘ長調 Op.5-1
 チェロ・ソナタ第2番ト短調 Op.5-2
 チェロ・ソナタ第3番イ長調 Op.69
 チェロ・ソナタ第4番ハ長調 Op.102-1
 チェロ・ソナタ第5番ニ長調 Op.102-2
 ヘンデルの『ユダス・マカベウス』の「見よ勇者は帰る」の主題による12の変奏曲ト長調 WoO.45
 モーツァルトの『魔笛』の「娘か女か」の主題による12の変奏曲ヘ長調 Op.66
 モーツァルトの『魔笛』の「恋を知る男たちは」の主題による7つの変奏曲変ホ長調 WoO.46
 ホルン・ソナタ ヘ長調 Op.17(チェロ版)

 スティーヴン・イッサーリス(チェロ)
 ロバート・レヴィン(フォルテピアノ)

 (Hyperion・2012年録音)

復元だというフォルテ・ピアノとガット弦のストラディヴァリウスによる小気味よく素朴で、それでいてここ一番の激しさやスケール感もたっぷりの演奏はすごく良かったです。ソナタ以外の「ヘンデルの『ユダス・マカベウス』の「見よ勇者は帰る」の主題による12の変奏曲」や「モーツァルトの『魔笛』の「娘か女か」の主題による12の変奏曲」あたりも気に入りました。

イッサーリスさんは過去に札響とサン=サーンスの第1番のコンチェルトを定期で共演する予定だったのですが、確かご家族のご病気か何かで来日できなくなったことを覚えています。一度聴いてみたかったチェリストですね。