マゼール/ピッツバーグ響のシベリウス 交響曲第5番を聴く

聴いている音楽
07 /26 2014
朝の地下鉄がすきました。学生さんたちが夏休みに入ったのでしょう。

そして過日は車内で過呼吸というのでしょうか、体調が急変した若い娘さんがいて騒然となったのですが、幸い乗り合わせていた若いお医者さん?が応急対応をしたうえで、次の駅で一緒に降りて行きました。大事ないといいのですが・・・。

ああいうのを見ると、専門職への尊敬の念を新たにします。自分の仕事へのモチベーションにしましょう。

まあ、色々あった一週間でしたが、通勤の音楽は先日亡くなったマゼールのシベリウスを聴いていました。氏を偲んで何か聴いたことのないものをと思い立ち中古CDショップで500円で購入したものです。

マゼールは1988年から1996年まで、米国ペンシルベニア州のオケ、ピッツバーグ交響楽団の音楽監督をつとめました。そういえば、氏はピッツバーグ大学の卒業なのですね。

■ シベリウス
 交響曲第5番変ホ長調作品82

 指揮:ロリン・マゼール
 ピッツバーグ交響楽団
 (SONY CLASSICAL・1990年録音)

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何気なくサラサラ進むところがある一方で、ところどころでアクの強い濃厚な表現もあったりするのがマゼールらしいところでしょうか。第1楽章の終結部でのホルンを強奏させて描く立体感!とても気に入りました。

全体的に輪郭のはっきり、くっきりしたシベリウスで好印象を持ちました。


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プレヴィンのブリテン「4つの海の間奏曲」を聴く

聴いている音楽
07 /20 2014
明日は海の日ですね。港町出身なので、海のない札幌に住んでいると、時々無性に見に行きたくなります。

といっても北海道の海はキラキラ輝く穏やかなことは少なく、鉛色の鬱々した表情の方が多いかもしれません。ブリテンの見ていた海は"北海"。 同じような感じだったのでしょうか。

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■ ブリテン
 歌劇「ピーター・グライムズ」より 4つの海の間奏曲 作品33a

 指揮:アンドレ・プレヴィン
 ロンドン交響楽団
 (EMI・1974年録音)

ジャケットの絵は、北海とその波打ち際にある「ムート・ホール」というアングロサクソン時代の会合所だと解説書にあります。

作品は、緩-急-緩-急の4つの部分から成ります。

(1)夜明け(Dawn):一度聴いたら忘れられない印象的な冒頭の響き。ゆっくりとしたテンポで描かれる灰色の北海の夜明けです。ブリテンの世界に引き込まれます。トロンボーンの響きがとても良いですね。

(2)日曜日の朝(Sunday Morning):スケルツォ的な感じでしょうか。ホルンによる鐘の音に続く快活な音楽。自分の中では、リードのオセロの「朝の音楽」やコダーイのハーリ・ヤーノシュの「ウィーンの音楽時計」を条件反射的に思い出してしまいます。

(3)月光(Moonlight):ゆっくりとしたテンポによる夜の町の情景。今回あらためて聴いてその神秘さに惹かれるものがありました。解説書によると弦楽部にはヴァイオリンが使われていないとあります。

(4)あらし(Storm):再び早いテンポで金管楽器も活躍して荒れ狂う海を描きます。学生時代に演奏した思い出の曲です。

プレヴィンの演奏は、「嵐」などちょっと迫力不足かなとも思いましたが、弦と木管を綺麗に響かせた細部までとても丁寧な演奏ではないでしょうか。

「日曜日の朝」と「あらし」では、LSOの木管楽器奏者の腕達者な演奏が楽しめます。

そうそう、街を歩いていたら、この曲がプログラムに入っているアマチュアオケの演奏会のちらしを見つけました。めったに演奏されない曲ですし、演奏会は休日の夜のようなので、聴きに行ってみようか思案中です。

マゼールのコンサートを振り返る

音楽
07 /16 2014
ロリン・マゼール氏が亡くなりました。

色々な意味で思い出深い指揮者です。

はじめて買ったCDはクリーヴランド管を振った「幻想交響曲」です。今でも愛聴しております。

実演にも二度接する機会がありました。

バイエルン放送交響楽団札幌公演
 (1993年・北海道厚生年金会館)
 R.シュトラウス
  ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯
  ツァラトゥストラはかく語りき
  「ばらの騎士」組曲

今見てもプログラムが粋で素敵ではありませんか!

そしてバイエルン放送響のあまりの上手さに舌を巻きました。鳥肌です。ツァラのオルガンは電子で代用。

ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団札幌公演
 (2013年・札幌コンサートホールkitara)
 レスピーギ 交響詩「ローマの噴水」
 パガニーニ ヴァイオリン協奏曲第1番 (vn:五嶋龍)
 ベートーヴェン 交響曲第7番

前回から20年後、会場もkitaraへと変わりました。もちろんパイプオルガンも備え付けられています。

このコンサートあまりの体調不良で後半のベートーヴェンを聴けずに会場を後にすることに・・・。パガニーニの巨匠然とした遅めのテンポからのじっくりと聴かせる演奏が印象に残っています。

ご冥福をお祈りします。

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ヤルヴィのマーラー「復活」を聴く

聴いている音楽
07 /13 2014
色々なことがあった一週間でした。

月曜はお世話になった先輩が急遽退職することが判明。火曜日は職場で緊急地震速報を受信したみんなのスマホが一斉にビービー鳴りだして、その後、地下鉄が止まってなかなか帰宅できなかったり。(地震はたいしたことはありませんでした)

水曜は主催した会議が紛糾。木曜、金曜は出張でしたが、こちらも課題が残りすっきりしない気持ちで週末をむかえました。

とりあえず、週末はゆっくり音楽です。

どっぷりマーラーに浸っておりました。



■ マーラー 交響曲第2番ハ短調「復活」

 指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
 フランクフルト放送交響楽団

 ソプラノ :ナタリー・デセイ
 メゾ・ソプラノ :アリス・クート
 オルフェオン・ドノスティアラ
 (Virgin classics・2009年録音)

実にクリアで気持ちの良いマーラーだと思います。

このディスクでは第4、第5楽章が特に気に入っております。

第4楽章は録音の優秀さとヴィブラート少なめの歌唱で、まさに別世界に誘われるような美しさを味わえます。

終楽章も余裕のある音楽の運びでせせこましいところがなく、伸びのあるオーケストラの音色、クリアな録音、これらが相まって、実に広がりのある音楽が眼前に現れます。

この楽章は、いつもは中だるみというか、なにか集中力が続かなかったりするのですが、それもなく、部分部分も美しく、かつ、全体からみてのバランスのいい感じ。

合唱もとても聴き取りやすく好みです。迫力もあり、それでいて「Bereite dich zu leben!」の男声から女声に繋がれていく部分あたりなどの繊細さも素敵だと思います。

ラストの盛り上がりは多少オケの音が薄い感もありますが、鐘の音がとてもよく録音されていて、その音程、音色がちょっとしたアクセントになっていると思います。

モーツァルトの「グラン・パルティータ」を聴く

聴いている音楽
07 /07 2014
最近は大曲を聴いたり、ブリテンのような近現代曲を聴いたりしていたので、耳休め。

日曜の夜、家族が寝静まったあとの音楽タイムにはモーツァルトの室内楽を選びました。

セレナード第10番変ロ長調K.361(370a)「グラン・パルティータ」。ザビーネ・マイヤー管楽器アンサンブルの演奏です。(EMI・1991年録音)



メンバーを一応書いておきましょう。当たり前ですがちゃんと13人になってます。

ディートヘルム・ヨナス(第1オーボエ)
アルブレヒト・マイヤー(第2オーボエ)
ザビーネ・マイヤー(第1クラリネット)
カール=テオ・アドラー(第2クラリネット)
ライナー・ヴェーレ(第1バセット・ホルン)
ヨアヒム・クレム(第2バセット・ホルン)
ブルーノ・シュナダー(第1ホルン)
クラウス・フリッシュ(第2ホルン)
ディートマール・ウルリヒ(第3ホルン)
リヒャルト・シュナイダー(第4ホルン)
セルジオ・アッツォリーニ(第1ファゴット)
ゲオルグ・クリュッチュ(第2ファゴット)
クラウス・ローラー(コントラバス)

アルブレヒト・マイヤーがセカンドなのかと思って、ライナーノーツを読みましたら、録音当時はバンベルク交響楽団のソロ・オーボエ奏者で、翌92年からBPOのソロ・オーボエ奏者就任が決まっているとありました。

久しぶりに聴きましたが、やはり名曲ですなぁ。

この曲の白眉、第3楽章はいつ聴いても天国的な気分にさせてくれます。オーボエ→クラリネット→バセット・ホルン?と受け継がれていく名旋律は、まさに天才の筆そのもの。このほか、憂いのある第5楽章、聴きごたえたっぷりな変奏が楽しめる第6楽章、快活な終楽章も好きです。

演奏はパリッとした冴え、繊細さ、力強さを兼ね備えた表現力豊かなもので、とても気に入っています。

生でも1度だけ。何年か前、PMFのコンサートでもやっていて、聴きに行ったことがあるのですが、とても良かったですね。

「ベンジャミン・ブリテン」を読む

音楽
07 /05 2014


「ベンジャミン・ブリテン」(デイヴィッド・マシューズ著、中村ひろ子訳・春秋社)を読みました。

著者はホルストの「惑星」に冥王星を補筆したコリン・マシューズ氏のお兄さんだそうです。

《シンプル・シンフォニー》、《青少年のための管弦楽入門》、《ピーター・グライムズ》、《戦争レクィエム》など著名な作品も多いブリテンですが、意外にも書籍はこれまでのところ日本では一冊もなかったそうです。

そんな中、昨年初版が発行された本書。「訳者のあとがき」に、コンパクトな入門書として、『ブリテンの人となりや作曲家としての重要なターニングポイントを深く理解した上で、バランスよくまとめられている。』とあります。

読んでみて、全く同感でした。作曲家フランク・ブリッジに見いだされたこと、テノール歌手ピーター・ピアーズとのパートナー関係、そして、《ピーター・グライムズ》など代表曲の作曲過程などをエピソーゾを交えて盛り込まれており、とても読みやすい一冊でした。

各章には興味深いタイトルが付けられています。
第1章 一人の男の子が生まれた
第2章 行って、遊んでおいで、坊や
第3章 何よりも冷たい愛が
第4章 アメリカは、きみたちが決めたとおりの国になる
第5章 どこの港が平和を守ってくれるのか?
第6章 固く結ばれた私たちの魂
第7章 果しない海原で
第8章 眠りは癒しの力
第9章 平和の中で私は幻影を見つけた
第10章 死が私に自由をもたらすだろう

印象的なセンテンスはここでしょうか。

p4~5
ブリテンの世界は、危険と、しばしば恐怖に満ちており、そこでは無垢な魂はたちまち堕落する。一時的に美や愛によって心が安らかになることがあるが、眠りだけが唯一、安全と信頼が復活する場なのだ。


p101
ブリテンとピアーズは、ある程度までグライムズは自分たち自身、すなわち平和主義者にして同性愛者というアウトサイダーの立場を象徴するものと見ていた。しかし、グライムズをより一般的な、ハンス・ケラーいうところの「適応できなかった男」として造形することによって、二人はこのオペラを単なる私的作品から脱却させることができたのだ。



おかげで、ここ最近は、音楽の方もブリテン漬け。色々な曲をとっかえひっかえ聴いていますが、初期の作品、「フランク・ブリッジの主題による変奏曲」作品10なんかも意外にいい!

港町ローストフトの北海を見渡す家に歯科医の父と、アマチュア歌手の母の間に生まれたブリテン。生涯、海とのつながりをもった作曲家と言われていますが、まだまだ知らない曲も多いので、色々聴いていってみます。