札響第570回定期 尾高指揮 ヴェルディ「レクイエム」

音楽鑑賞
06 /29 2014
■札幌交響楽団第570回定期演奏会

ヴェルディ:レクイエム

指揮:尾高 忠明
ソプラノ:安藤赴美子  メゾ・ソプラノ:加納悦子
テノール:吉田浩之  バリトン:福島明也
合唱:札響合唱団、札幌放送合唱団、ウィスティリアアンサンブル、どさんこコラリアーズ

2014年6月28日(土)14:00~
札幌コンサートホールkitara

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開演30分前のロビーコンサートはヴァイオリンの渡邊俊和さんの演奏でバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番よりアダージョとフーガ。つい先日まで私が聴いていた曲ではありませんか。なんてラッキー!とホワイエ2階からしっかりと聴かせていただきました。最初の一音でふと空気がひんやりするのはバッハの音楽の力でしょうか。

札響は、2006年の札響合唱団の設立以後、年末の第九に加え、定期演奏会に必ず声楽入りの大曲がプログラミングされています。
2007年 マーラー「復活」
2008年 ブリテン「ピーター・グライムズ」
2009年 オルフ「カルミナ・ブラーナ」
2010年 デュリュフレ「レクィエム」
2011年 ドヴォルザーク「スターバト・マーテル」
2012年 ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」
2013年 ブリテン「戦争レクィエム」
こうやって見るとなかなか壮観ではありませんか。そして今年はヴェルディです。

配置はステージ向かって左から、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、右後方にコントラバス。
弦の後方にフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンなどが2列で置かれ、その後ろはバスドラム、ティンパニ、トランペット、トロンボーン。オケの後方のひな壇に4人のソリストと合唱団となっていました。

さて、感想文の方はというと、いつもどおり『良かったです』しかありませんが(笑)、まあ、なんていうんでしょうか、こうやってあらためて聴きますと実にドラマティックで起伏に富み、ヴェルディの才能をいやというほど感じずにはいられない曲です。特に「怒りの日」では、オケ&合唱の迫力、それから4人のソリストにそれぞれ見せ場があって、飽きるということがありません。インジェミスコからコンフターティスを経てラクリモーザあたりは全曲の中でもすごく好きな部分ですね。

尾高さんの指揮で今回興味深かったのは、激しい部分でも急き立てるような感じではなく、実に鷹揚とした指揮ぶりだったことでしょうか。オケも合唱も硬くなることなくのびのびと、それでいて指示にきっちりと反応した集中力の高い好演だったと思います。

4人のソリストは歌い方にクセがないうえに、バランスも良くて音楽に集中できましたし、ピアノで重唱する部分などは、繊細の極み、息もぴったりで、本当に美しかったです。余談ですが、ソプラノの安藤さんは札幌出身だそうです。

なお、「怒りの日」での死者も甦るバスドラムの強打は私のところまで振動が伝わってきましたし、トゥーバ・ミルム(くすしきラッパの音)では、ステージ後方にバンダが二隊配置され、立体的な音の響きだけでなく視覚的にも楽しめたのはコンサートならではの贅沢です。


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札響第569回定期 伊福部昭生誕100年記念

音楽鑑賞
06 /02 2014
■札幌交響楽団第569回定期演奏会
 ~伊福部昭生誕100年記念~

伊福部昭:日本狂詩曲 
伊福部昭:ヴァイオリン協奏曲第2番 *
伊福部昭:土俗的三連画
伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ

指揮:髙関健 ヴァイオリン:加藤知子*

2014年5月31日(土)14:00~
札幌コンサートホールkitara

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今回は子供の運動会と重なったため、金曜の夜公演に振り替えようとしましたが、どうしても調整がつかず、やむなく運動会が終わってから、急いで会場に向かいました。開演時間を過ぎて会場に到着。レセプショニストの方から、「ただいま二曲目が始まったところですので、あと30分ほどお待ちください」との説明がありました。
というわけで、今回は後半のみの鑑賞となりました。

ゴジラでお馴染みの伊福部昭(1914~2006)は、北海道釧路生まれ。少年時代からヴァイオリンを習い、北海道帝国大学(現・北大)で林学を学ぶ傍ら、学生オケのコンマスも務めていたようです。その後、道庁の厚岸(あっけし)森林事務所林務官などをつとめながら作曲を続け、戦後は、東京音楽学校(現・東京芸大)の講師もされたようです。プログラムには、「シンプルなモチーフの執拗な反復」、「民族的な旋法の重用」など独特の音楽技法が特徴とあります。なるほど。勉強になります。

後半、最初は『土俗的三連画』。
プログラムには1937年赴任先の厚岸で作曲。「アイヌの旋律と日本民謡的な楽想の共存」とあります。Ⅰ)同郷の女達、Ⅱ)ティンベ、Ⅲ)パッカイの3楽章から成り、編成は弦五部各1、フルート1、オーボエ1、クラリネット1、ファゴット1、ホルン2、トランペット1、打楽器1、ピアノ1の計14人という小規模な曲。オリエンタルな雰囲気の中、コンマスの大平さん、トランペット副主席の松田さん、ホルン首席の橋本さんはじめ、札響の皆さんの妙技を一度に味わえる点も良かったです。松田さんの音は本当に柔らかくていい。

ラストは1954年作曲、1979年に改訂された『シンフォニア・タプカーラ』。
先程とうって変わって大編成。Ⅰ)レント・モルト-アレグロ、Ⅱ)アダージョ、Ⅲ)ヴィヴァーチェの3つの楽章から成ります。タプカーラとはアイヌ語で ”立って踊る” という意味だそうで、その名のとおり、両端楽章は野趣あふれる鮮烈なリズムが印象的な曲です。なじみのない曲は事前に図書館から借りて予習するのですが、「アダージョ」はとても気に入りました。本当に素晴らしい!ハープの伴奏に乗ってフルートのソロから始まります。静謐な雰囲気で曲は進行し、5分過ぎごろから下降型の音型が現れ、曲はますます神秘さを増していきます。私はここの部分でこの曲の虜になりましたねぇ。もちろん、両端楽章も、多少しつこさはありますが、プリミティヴな迫力満点の演奏で、会場も大盛り上がりでした。

それにしても、高関健さんが指揮するコンサートはハズレがない。きちっとまとめる手腕がスゴイです。

札響定期のプログラムには、今回演奏する曲の、過去の演奏回数、前回の演奏年月日が記されていますが、「シンフォニア・タプカーラ」は、80年の札響初演以降、5回も演奏されていて、ちょっとびっくり。定期的に取り上げられる重要なレパートリーということでしょうか。そう言えば、会場入口に、本公演は録音される旨、告知されていました。